最終更新日:2017.09.01

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小説家中村文則公式サイト
単行本


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「中央公論新社」 1600円(税別)   2017年 8月発行

『R帝国』 (最新刊)
単行本単行本
 18冊目の本になります。本のデザインが、表紙を外すと一枚の絵になっています。猫将軍さんが、この本のために描いてくれました。ものすごく格好いいです。

 資本主義で、民主主義で、経済大国であるのに、独裁政権、全体主義になってしまった国の物語です。携帯電話と会話ができるような近未来が舞台ですが、今の日本と世界を意識して書きました。

「朝、目が覚めると戦争が始まっていた。」の一文から始まります。ディストピアと呼ばれるジャンルの小説です。現在の日本の右傾化に僕は危機を感じていて、ここ数年で日本の未来が決まると思っています。そういった中で、黙るわけにはいきませんでした。「今」に必要な物語を、書いたつもりでいます。作中に、「委縮は伝播する」という言葉が出てきますが、この小説の委縮はゼロです。委縮する作家ほど、みっともない存在はないので。

 独裁政権下に生きる、矢崎、栗原、アルファ、サキという四人の男女が出てきます。「悪」として登場する政治家の加賀という男は、これまで僕が書いてきた「悪」の中で、また特別な存在になりました。作家として、覚悟をもって書きました。ぜひ読んで下さると嬉しいです。

 

 

文庫本(最新刊)   単行本

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「集英社文庫」 800円(税別)2017年 6月発行


『教団X』

(集英社文庫)
単行本

 15冊目の本で、僕の最長の小説になります。

 あるカルト教団にまつわる物語です。二人の教祖と、四人の男女の「運命」が絡まり合い、様々な事件がある中で、この国を揺さぶるテロリズムへと発展していきます。

 人間とは何か、悪とは何か、生きるとはどういうことなのかという、文学における問いに正面から答えようとした小説です。

 ここに出てくる沢渡という人物は、これまでの僕の「悪の系譜」の中で、最も深い悪を体現していると思っています。「沢渡の過去」の章は、僕の全作品の中で、最も深刻なシーンを目指しました。「高原の手記」の章では、『銃』や『遮光』のような空気感があると思います。

 そして、強い光と希望を込めました。

 書いた当時、これは僕にとっての『カラマーゾフの兄弟』 にしようと思いました。そして今、ここからさらに発展させた小説を書いていこうと思っています。

 

 

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「集英社」 1800円(税別)2014年12月発行

『教団X』(集英社)

単行本 

 僕の15冊目の本で、こちらは単行本です。単行本の方は、タイトルが浮き字になっていて、とても存在感のある本になっています。

 芥川賞でもなく、映画化もされていない純文学小説であるのに、異例の部数の本になりました。この度文庫本が刊行されたのですが、そちらもさらに広がっています。

 ヘイト本が売れている、という悲しいニュースが時々ありますが、この『教団X』は、反ヘイトの本であり、ヘイト本より売れています。純文学の可能性を見せることができた小説だと、作者としては勝手に思っています。これも全て、皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

 


文庫本(新刊)   単行本

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「河出文庫」 550円(税別)2017年 5月発行


『A』(河出文庫)
単行本

 14冊目の本で、13の短篇が収録された短篇集です。

 本のデザインが、本当に素晴らしいです。インテリアとして置いておいてもかっこいいのではと感じています

 収録作は、 『糸杉』 『嘔吐』 『三つの車両』 『セールス・マン』 『体操座り』 『妖怪の村』 『三つのボール』 『蛇』 『信者たち』 『晩餐は続く』 『A』 『B』 『二年前のこと』です。あとがきを入れて約270ページで、なかなかのボリュームになりました。

 シリアスな作品や、『世界の果て』の「ゴミ屋敷」や『惑いの森〜50ストーリーズ〜』の「Nシリーズ」のようなユーモアテイストのもの、官能ものや前衛的なもの、戦争ものまで、バラエティに富んだつくりになっています。

 それぞれ独立した短篇ですが、どこかで緩く繋がっています。7年にわたる各短篇小説をこういう形で一冊にまとめることができて、とても嬉しく思っています。

 我ながら、いい短篇集になったと思っています。時々こうやって短篇集を出版していきたい、と思っているのですが、長編のスケジュールが過密なので、次の短編集は随分と先になってしまうと思います。

 

 

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「河出書房新社」 1400円(税別)2014年 7月発行

『A』(河出書房新社)単行本 僕の14冊目の本で、単行本の方では、タイトルが金メッキに装飾されてまして、とても美しいです。坂上チユキさんの『フェニックス』という絵を使用させていただきました。

 この度文庫本が刊行されたのですが、中国での虐殺を書いた『A』、従軍慰安婦について書いた『B』は、今の時代に必要な小説だと、勝手に思っています。

     
文庫本   単行本

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「幻冬舎文庫」 460円(税別)2016年 4月発行

2018年春、映画化


『去年の冬、きみと別れ』

(幻冬舎文庫)
単行本

 13冊目の本が、幻冬舎文庫になりました。僕のあとがき風エッセイが収録されています。

 タイトルは一見僕の小説っぽくないですが、読んでみると、完全に僕の小説となっています。本のデザインも、迫力があって格好いいです。

 本格的にミステリーの技法を取り入れていますが、テーマはもちろん純文学です。 その人が気づいていない、その人の真の欲望と、人がその「一線」を越えてしまう「瞬間」と、その「領域」にまつわる物語です。

 この小説は、僕にとって一つの達成だと思っています。この小説は、後の『私の消滅』にもいかされています。

 

 

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「幻冬舎」 1300円(税別)2013年 9月発行

『去年の冬、きみと別れ』

(幻冬社)単行本 僕の13冊目の本で、こちらは単行本です。

 


文庫本   単行本

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「新潮文庫」 460円(税別)2015年 3月発行


『迷宮』(新潮文庫)
単行本

 僕の11冊目の本が、新潮文庫になりました。「迷宮について」という僕の解説風エッセイが収録されています。

 一家が密室で殺害され、犯行現場が色鮮やかな折鶴で飾られた迷宮事件、別名「折鶴事件」と呼ばれた事件の解明を中心に、物語は進んでいきます。

 謎と真相、そして人間の暗部の物語です。謎に満ちた女性、元刑事の探偵、失踪中の男、ライターなど、様々に出てきますが、主人公の内面を軸とした物語になります。

「君は選ばなければならない」主人公が小さい頃に精神科医に言われた言葉から、この小説は始まります。全体的に、危うい空気が漂っていると思います。

 デビュー10周年記念作品です。10周年記念の作品が、順番的にちょうどデビュー媒体の新潮社になったのは、何やら不思議な感じがします。

 この小説がなければ、『去年の冬、きみと別れ』は書けなかったと思っています。

 


 

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「新潮社」 1300円(税別)2012年 6月発行

『迷宮』(新潮社)単行本 僕の11冊目の本で、こちらは単行本です。

 


     
文庫本   単行本

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「河出文庫」 470円(税別)2015年 4月発行


『王国』(河出文庫)
単行本

 僕の10冊目の本が、河出文庫になりました。『掏摸[スリ]』の兄妹編です。『王国について』という僕の解説風エッセイが収録されています。

 どちらから読んでも、どちらかだけ読んでも、楽しめるようになっています。世界観はリンクしていますが、独立した作品です。

 単行本のデザインとほぼ同じですが、少し女性の雰囲気が変わっていて、帯を取ると、また少し違います。

 『掏摸[スリ]』に登場した木崎が出てきます。もしかしたら『掏摸[スリ]』の主人公も、少し出てくるかもしれません。反対に、この『王国』に登場する矢田という男は、『掏摸[スリ]』にも少し出てきています。

 都会の片隅で「ある特殊な仕事」をしているユリカという女性が、ある陰謀に巻き込まれていく物語です。月、というのが重要なテーマになっていまして、読んだ人は気づいたかもしれませんが、この小説の場面は全て夜になっています。

 文体に月のイメージ(光、水、煙《雲》)を溶け込ませて、逃亡や罠、策略、裏切りなど、エンターテイメント性を全面に出しながら、運命、存在、生命の輝きなど、純文学のテーマを描いています。自分の人生を、奪われるということ。訪れた運命を、拒否するということ。テーマは大きいです。

 女性の一人称での長編は初めてで、そのおかげで文体に様々な工夫ができるようになりました。『掏摸[スリ]』の本の左側に並べると、かっこいいデザインになっています。

 

 


 

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「河出書房新社」 1300円(税別)2011年 10月発行

『王国』(河出書房新社)単行本 僕の10冊目の本で、こちらは単行本です。

 


     
文庫本   単行本

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『ウォール・ストリート・ジャーナル』2013ベスト10ミステリー

2018年映画化
「講談社文庫」 660円(税別)2013年 10月発行


『悪と仮面のルール』

(講談社文庫)
単行本
 僕の9冊目の本が講談社文庫になりました。装丁もかっこいいです。『悪と仮面のルールについて』という僕の解説風エッセイも収録されています。

「掏摸〈スリ〉」に続いて、英訳の第二弾になります。ジャパニーズノワール、という感じで紹介されています。

『邪』の家系に生まれついた主人公が、顔を変え、他人の身分に成りすまし、ある行為をする物語です。

 テロや殺人や陰謀などが多発します。そういった大きな物語の奥に、小さく悲しい物語があった、という小説です。幸福に対する侮蔑、人間の内面の闇と希望、連続されるルール違反、反復と因果、罪と命と回復にまつわる小説です。

 中の扉ページもカッコよくデザインされています。こういうのもいいなと思いました。作品に合っています。

 

 

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「講談社」 1600円(税別)2010年 7月発行

『悪と仮面のルール』(単行本)単行本 僕の9冊目の本で、こちらは単行本です。

 


     
文庫本   単行本

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大江健三郎賞
受賞作

『ウォール・ストリート・ジャーナル』2012ベスト10ブック
「河出文庫」 470円(税別)2013年 4月発行


掏摸 スリ (河出文庫)
単行本
 僕の8冊目の本が河出文庫になりました。「掏摸〈スリ〉について」という、僕の解説風エッセイも収録されています。デザインは単行本と同じですが、帯を取ると、少しだけ変わっています。最高に格好いいです。


完全にのめり込んで書いたことをよく覚えています。小説に自分が奪われる感覚がありました。この小説を書くことができて、本当に良かったです。様々な国に翻訳されています。

 都会に動く天才スリ師の物語ですが、過去の友人や恋人、売春婦とその子供、そして最大の悪の人物である木崎など、様々に登場します。

 小説の魅力、本の魅力を、能力の許す限り、最大限に出そうと考えました。純文学ならではの深みを追求しながら、読みやすく、かつ物語としてもスリルのあるもの。文章を次々読む快感というか、小説でしか味わえない、「文章の快楽」を念頭に置きました。悪だけでなく、温かさ、も意識しました。

 どこにでもあるような小説はいらないです。僕は僕の小説を書いていこうと、密かに決意した小説でもあります。『その入ってはいけない領域に伸びた指、その指の先端の皮膚に走る、違和感など消えうせる快楽を――』ぜひ読んでみてください。

 あとがきで「旧約聖書」について少し触れていますので、誤解のないように書きますと、僕は特定の宗教を信じたりはしていませんが、伝統的な宗教の聖典はほとんど読み、それぞれに感銘を受け、敬意を抱いています。

 

 

 

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大江健三郎賞
受賞作

『ウォール・ストリート・ジャーナル』2012ベスト10ブック
「河出書房新社」 1300円(税別)2009年 10月発行

掏摸 スリ 単行本 僕の8冊目の本で、こちらは単行本です。

 文庫本も同じですが、これは、スリ、という、カタカナのルビつきタイトルです。


     

 

文庫本   単行本

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2012年舞台化

「文春文庫」 533円(税別)2013年 1月発行 

『世界の果て』(文春文庫)
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 7冊目の本が文春文庫になりました。初めての短編集です。表紙のイラストは魚住幸平さんです。作品が絵となって溢れ出したようで、大変素晴らしいです。ちなみに魚住さんと僕は同い年です。「世界の果てについて」という僕の解説風エッセイも収録されています。以下、収録作です。

『月の下の子供』

 幽霊の出る家と、不動産屋で働く青年の物語です。 「土の中の子供」とイメージの繋がりがあります。

『ゴミ屋敷』

 僕の小説の中で初めて、「笑い」を取り入れた小説です。ゴミ屋敷をつくり続ける男の物語です。

『戦争日和』

 骨の降る部屋で奇妙な機械をつくる青年の物語です。時代が戦争に向かう時、人々の精神は単純化していきます。複雑な純文学は、それに対立するものです。戦争は大を考えるあまり、犠牲になる小を蔑ろにします。『憎悪は生き物だ、拡大を望む』という言葉が作中にありますが、単純化していく世界の中で執拗に小のことを考え続ける小説です。

『夜のざわめき』

 初めて、小説家、を主人公にした小説です。この頃、僕はなかなか精神的にきつくて、それが色々な形で出てしまいました。様々な声(ざわめき)の中を、主人公が歩いていきます。

『世界の果て』

 劇団「文学座」を母体とする「unks」によって舞台化されました。1 犬を持ち歩く男、2 画家、3 包丁を握る高校生(本人の自覚は中学生)、4 失踪者、の、それぞれの「世界の果て」と人生の問題を巡る小説です。それぞれタイトルをつけるなら、1は「犬を捨てる」、2は「無用の人」、3は「中学生の犯罪」もしくは「高みの世界」、4は「失踪」、5は「蒸発」もしくは「犬を握る」、かなと思います。一つの大きな物語として読むこともできます。読んでくれる人達の考える幅(自由)が大きい小説で、様々に解釈が可能です。

我ながらいい短編集だと思っています。こういう小説が集まる短編集は、今の時代には珍しいかもしれません。

 
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「文藝春秋」 1571円(税別 )     2009年 5月発行
『世界の果て』 (単行本)
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文庫本が発売されたのですが、こちらはハード・ブックです。僕の7冊目の本で、短編集です。
   
     

 

文庫本   単行本

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『集英社文庫』        400円(税別)    2012年 2月発行

何もかも憂鬱な夜に』   (集英社文庫)
単行本
僕の6冊目の本が、集英社文庫になりました。

刑務官の主人公、元恋人、恩師、自殺した友人、そして死刑判決を受けた青年の物語です。この小説もまた、僕にとって非常に特別な作品になりました。

死刑制度、思春期の問題、大人になった後も悩まされる内面の混沌、芸術に対する想い、希望など、様々に込めました。

長編小説で、一人称を「僕」に変えた初めての小説です。文庫版あとがきにも少し書きましたが、僕の個人的なことも色々入っています。

解説は、ピースの又吉直樹さんが書いてくれました。あのように才能に溢れ、かつ相当な読書家でもある人からこれほど見事な解説を書いてもらえるのは、作家としてとても嬉しかったです。

生きていくには辛いことも、憂鬱になることも多いです。様々な人達の憂鬱な夜に、この小説が何らかのパートナーになってくれれば、書き手としてはこれ以上の喜びはないです。共に生きましょう。

 

 

 

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「集英社」 1200円(税別)    2009年 3月発行

何もかも憂鬱な夜に』     (単行本)
文庫僕の6冊目の本になります。この度文庫本が発売されたのですが、こちらはハードブックです。

     
文庫本    DVD

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 2014年秋、映像化

『講談社文庫』      448円(税別)    2010年 7月発行

『最後の命』(講談社文庫)
単行本
 僕の5冊目の本が、めでたく講談社文庫になりました
デザインが、実際の本を手に取ると、ずっと見ていたくなるほどに美しいです。本屋さんなどで、一度見てくださると嬉しいです。これほどまでに内容と一致する写真があるのかと、個人的に驚きました。

 世界と接するのに一枚の布を必要とした主人公。「今から、人に嫌われる話をする。読んだ人間の全てが、眉をひそめるような話を」と語らなければならなかった冴木。そして謎めいた、小さく悲しい香里の物語です。

一つの殺人事件をめぐる物語ですが、『悪と仮面のルール』で書いた善悪のテーマの根源が、この小説にあるように思います。

 もっと広がってもいいとか、このまま埋もれていくのはもったいないという声を本当に多くいただいた小説で、今回このように講談社文庫になったことは非常に嬉しいです。相当な思いをこの小説には込めています。この小説が一番好き、という声を、読者さんから聞くことも多いです。

 テーマはなかなか衝撃ですが、文章は読みやすいです。大切なことを、全力で書きました。小説、文学を愛する全ての人に、読んでいただけたらと思っています。

僕の文庫版へのあとがきと、佐藤康智さんによる解説も収録されています。

 

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2015年5月

『最後の命』 (DVD単行本
 監督は松本准平さん、主演は柳楽優弥さん、主題歌はCoccoさんで、2014年に公開された映画がDVDになりました。特典映像で、少しだけ僕が映ってます。

 僕の初映像化作品で、ニューヨーク・チェルシー国際映画祭、脚本賞受賞作品です。

 内面に深く残る素晴らしい映画ですので、ぜひ観ていただけたら嬉しいです。作家としての深い喜びを感じました。とても感謝しています。

 

 

最後の命「講談社」 1500円(税別)    2007年 6月発行

『最後の命』 (単行本)単行本
こちらは単行本で、刊行は2007年です。

     
文庫本   単行本

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芥川賞受賞作
「新潮文庫」 400円(税別)2007年 12月発行

『土の中の子供』  (新潮文庫)
単行本
僕の4冊目の小説が、新潮文庫になりました。手元に置いていただけると嬉しいです...と、作者としては勝手に思っています。

暗い小説と言われることもありますが、僕は「悪意は人々の無関心の中で行われる」と思っていますので、こういう小説は重要だと個人的に思っています。右に書いたように、暴力自体を分析した小説ですが、運命や巨大なものに逆らう意志というものも意識しました。僕にとっては、そういう意志が必要だったりします。

単行本の時と同様、「蜘蛛の声」という短編も収録されています。僕はこの短編もとても好きです。文庫本ということで、井口時男さんによる解説も収録されています。こちらの方も、合わせて楽しんでくれると嬉しいです。

第9版から、カバーが新しくなりました。

 

 

 

 

 

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「新潮文庫」 400円 (税別)2013年 1月発行

『悪意の手記』

 (新潮文庫) 
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僕の3冊目の本が、新潮文庫になりました。「悪意の手記について」という、僕の解説風エッセイも収録されています。

「友人を殺してしまったある青年の手記」という小説です。手記1、手記2、手記3、で構成されています。

人をなぜ殺してはならないのか、という問いを、真正面から書いたものになります。こういう小説は、現代では珍しいものになってしまいました。

罪悪感の考察、意識と無意識、虚無、悪の分析、人の温度など、様々に込めました。青い服を着た少年、友人の武彦や祥子、リツ子、元刑事の探偵など、様々な人物も登場します。

こういう小説を残すことが出来てよかった、と思っています。僕にとって大切な本です。迫力と文章のうねり、ということも意識して書きました。

 

 
土の中の子供
 芥川賞受賞作
「新潮文庫」 400円(税別)2007年 12月発行
『土の中の子供』 (新潮文庫)
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こちらは前の新潮文庫版のカバーです。
土の中の子供
芥川賞受賞作
「新潮社」 1200円(税別)    2005年 7月発行

『土の中の子供』     (単行本)
文庫 この度文庫本が発売されたのですが、こちらはハードブックです。僕の4冊目の単行本で、「蜘蛛の声」という短編小説も同時収録されています。

「虐待」ということがクローズアップされて語られることが多いのですが、僕としては、暴力そのものを分析し、戦争も含めたことを意識して書きました。落下するイメージと、そこから這い上がるイメージを交差させて、小説の根本に、様々な思いを込めました。

書き終えた時、ようやくここまで書けた、と思いました。あくまでも自分なりに、ということですが。賞を頂いたこともあり、本当に多くの人に読んでもらうことができました。感謝しています。

悪意の手帳
「新潮社」 1300円(税別)    2005年 8月発行 
『悪意の手記』 (単行本)
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文庫本が発売されたのですが、こちらはハード・ブックです。発行は2005年になります。
     
文庫本   単行本

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野間文芸新人賞
受賞作
「新潮文庫」 370円 (税込)2010年 12月発行 

『遮光』 (新潮文庫)

僕の2作目の小説が、新潮文庫になりました。値段を抑えてくれたみたいで、340円となってます(2版からは370円みたいです)。ある虚言癖の青年と、美紀という女性の物語です。

文庫解説に代えて「遮光について」というエッセイを、この文庫用に書いて、一緒に収録しました。

この小説の10章の太陽の場面は、僕の文学の中核のシーンだと思っています。様々に思い入れのある、僕にとって、本当に重要な小説です。

この小説がなかったら、今の僕はなかったと思います。作家にとって2作目というのは大切で、プロとしてやっていけるかどうかの試金石になることが多いからです。

応援してくださる方々、本当にありがとうございます。小説の未来は暗いですが、何とか抵抗しようと思っています。

 
遮光
野間文芸新人賞
受賞作
「新潮社」 1400円(税別)    2004年 6月発行 
『遮光』 (単行本)

文庫本が発売されたのですが、こちらはハード・ブックです。発行は2004年6月で、僕の2作目の単行本になります。 この作品で賞をいただけたのには、感慨深いものがありました。
     
文庫本   単行本
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新潮新人賞受賞作、
芥川賞候補作
「河出文庫」 540円(税別)2012年 7月発行 

『銃』 (河出文庫)
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僕のデビュー作が、河出文庫、としてリニューアル刊行されました。短編小説「火」と、僕の解説風エッセイも収録されています。「銃」の内容は、当然ですが、新潮文庫版の「銃」と全く同じです。

拳銃を拾い、それを持ち歩く青年の話ですが、その中に意識の問題、無意識の問題、家族の問題、青年が抱える問題などを、色々と込めて書きました。意識の構造物のような小説です。

何かを持ち歩く、つまり何かを内面に抱えるということは、僕の小説の中心にあるものです。読み返してみて、やはり自分のデビュー作だなとしみじみ思いました。作家が一般的に自分のデビュー作に対してどういう感情を持つのかわかりませんが、僕はこの小説がとても好きです。

このように復刊となり、とても嬉しいです。皆さんのお陰です。本のデザイン、最高に格好いいです。

 
銃 (単行本)
新潮新人賞受賞作、
芥川賞候補作
「新潮社」 1400円(税別)    2003年 3月発行 
『銃』 (単行本)
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文庫本が発売されたのですが、こちらはハード・ブックです。発行は2003年3月で、僕の初単行本になります。
銃 (文庫本)
新潮新人賞受賞作、
芥川賞候補作
「新潮文庫」 380円(税込)2006年 6月発行 
『銃』 (新潮文庫)
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こちらは新潮文庫版です。新潮社の「銃」は、残念ながら、もう二度と手に入らないです。河出文庫として復刊しました。
     


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「文藝春秋」 1300円(税別)   2016年 6月発行

『私の消滅』 (新刊)
単行本単行本
 17冊目の本になります。本のデザインが、またすさまじいものになってます。かっこいいです。

 僕の近作、『去年の冬、きみと別れ』『教団X』『あなたが消えた夜に』を書いたことで、到達することができた小説だと思っています。

 ある男が、山林の古びたコテージに行き、そこに置かれていた手記を読むところから小説が始まります。人間の精神の奥の奥、を描き出して、人間の存在そのものを問うと同時に、ミステリーの手法も取り入れて、少しだけノンフィクション的な要素もあります。

 この小説も、一つの達成だと自分では思っています。書いている時は、脳がフル回転したというか、ちょっと危ないところまで行きました。読んで下さった方は、「それは確かにそうなるだろう」と思ってもらえるのではないかと思います。

 なんというか、表現において、こういう領域にまで来ることができました。この小説が書けたことは、自分にとってとても大きなことだと思っています。

「きみはあの時本物の犯罪者になり損ねた。」ぜひ読んで下さると嬉しいです。

 

 

単行本

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「毎日新聞出版」 1600円(税別)   2015年 5月発行

『あなたが消えた夜に』
単行本単行本
 16冊目の本で、初めての新聞連載(毎日新聞・夕刊)小説です。

 突如発生した連続通り魔事件の容疑者、”コートの男”を、所轄の男性刑事と、捜査一課の女性刑事が追うストーリーです。これまで刑務官を主人公にしたことはありましたが、今回は初めて刑事が主人公です。

 女性刑事のほうは、僕の短編に時々出てくるユニークなタイプの女性の系譜にあるもので、個人的にとても気に入っています。かなりシリアスな物語ですが、時々いい化学反応を起こしています。

 『教団X』と連載時期が重なってまして、二つの作品がお互いに影響し合っています。二つとも、本当に大切な作品になりました。

 テーマは「無意識」と、それに伴う「人間の不自由さ」です。初めての警察小説で、〈管理官〉より上の階級の人物達はすべて霧がかかったように顔がぼやけていたり、組織は少しだけカフカ的です。ストーリーがどんどんと動く中に、人間の内面の奥底を描いています。

 従来の読者さんは、いかにも僕の小説と思うと同時に、ところどころに新鮮さも感じてもらえるのではないかと思います。一つの挑戦を達成できたと感じています。持ち運べるように今回は薄い紙を使ってるのですが、『教団X』の次に長い小説となりました。

 読み進めていくと、なぜ本の表紙が少し燃えているデザインなのか、徐々にわかってくると思います。

 

 

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「イースト・プレス」 1500円(税別)   2012年 9月発行

『惑いの森〜50ストーリーズ』
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 12冊目の本になります。初のショート・ストーリー集です。松倉香子さんによる素晴らしい挿絵も添えられています。表紙の絵がすでにもう、この作品世界を見事に現してくれています。

 アマゾン上にあるWEB文芸誌、マトグロッソで連載していたショートストーリー全28話に、新たに書き下ろした22話を加え、全50話の本になりました。

 それぞれ独立したストーリーですが、それぞれが緩やかに繋がっています。

 ある女性を欲した森、蜘蛛と暮らす青年、地獄で向かい合う二人、鳥の剥製に操られる男、伝えられなかった言葉が届く郵便局、くつを探し続ける女性、役目を終えた物達が集まる博物館、逮捕され、裁判を受ける小説家などなど、50話です。僕っぽいストーリーや、僕には意外なストーリーなど、様々です。

 バラエティに富んでいると思います。こういう本を、ずっとつくってみたかったです。楽しんでもらおうと思って50話にしたのですが、ずいぶんと時間がかかってしまいました。

 デビュー10年を記念して、いい本がつくれたと自分では思っています。

(目次のページで、*のマークがついているのが書き下ろし作品です。収録されている「狭い部屋」は初版では目次のページで*がついていませんが、書き下ろし作品です。第2版からは直ってます)

 

 

 

 
 
others    

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朝日新聞出版
「朝日文庫」560円(税別)    
2011年 2月発行

『作家の口福』(朝日文庫) 
アザーズ
様々な作家が、食をテーマにエッセイを書いています。その中に、僕が書いたものも入っています。
 

喫煙室

文藝春秋企画出版部・編
「文藝春秋」500円(税込)    
2007年 11月発行

『喫煙室』(文芸春秋)
アザーズ
各界の人が、くつろぎをテーマにエッセイを書いています。その中に、僕が書いたものも入っています。
     
     

dokusyo

岩波文庫編集部・編
「岩波文庫」660円(税別)     
2007年 2月発行

『読書という体験』(岩波文庫)
アザーズ
各界の人が、読書についてのエッセイを書いています。その中に、僕が書いたものも入っています。
 

空を飛ぶ恋  新潮社・編
「新潮文庫」 400円(税別)    2006年 6月発行

『空を飛ぶ恋』(新潮文庫)
アザーズ
様々な作家が、携帯電話にまつわるストーリーを書いています。その中に、僕が書いたものも入ってます。
     
   
 
 
 
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